ふと愛猫を撫でていたら、指先に違和感が…。 よく見てみると、10円ハゲのようなものができて地肌が見えている! あるいは、最近お腹の毛が薄くなって地肌が透けている気がする…。
そんな時、「ストレスかな?」「何かの病気?」「もう元通りのフサフサにはならないの?」と、不安でいっぱいになってしまいますよね。

こんにちは、にゃんトピのパパちゃんです。 実はわが家も昔、長男のアメショ「しょうすけ」の顎の下に大きなハゲができてしまった経験があります。 当時は「自慢のイケメンが台無しだ…」とママちゃんと二人で落ち込みましたが、ちゃんと治療すれば、毛は戻ってくるんです!
今回は、猫の脱毛症の主な原因や治療法、そして「また生えてくる?」という一番の心配事について、にゃんトピの頼れるアドバイザー・猫実先生に詳しく解説してもらいます。
原因を正しく知り、適切なケアを行うことで、もし愛猫が脱毛した場合の知識を蓄えておきましょう。

換毛期の抜け毛とは明らかに違う気がするんですが、猫ちゃんの毛が抜ける原因って一体何なんでしょうか?

猫ちゃんの脱毛症には、大きく分けて4つの原因が考えられます。それぞれ対処法が違うので、まずはどのタイプか見極めることが大切ですよ。

一つ目は、『痒み』が原因で、猫ちゃん自身が舐めたり噛んだりして毛をむしってしまうパターンです。
- ノミ・ダニ: 寄生虫に噛まれたアレルギー反応で激しい痒みが出ます。
- 食物アレルギー: 毎日のフードが合わず、顔まわりや体を痒がります。
痒くてイライラして、自分で毛を引き抜いてしまうこともあります。


二つ目は、カビ(真菌)や細菌による感染症です。 特に多いのが『皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)』、いわゆる『猫カビ』です。 免疫力の低い子猫や老猫に多く、円形に毛が抜ける(リングワーム)のが特徴的ですね。 人間にもうつることがあるので注意が必要です。


ストレスでハゲるって本当にあるんですか?

はい、あります。『心因性脱毛(しんいんせいだつもう)』と言って、環境の変化や不安からくるストレスで、過剰にグルーミングをしてしまうんです。 痒みや皮膚の赤みはないのに、お腹や手足の内側などの毛が薄くなっている場合は、この可能性が高いですね。


最後は、ホルモンの病気です。 『副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)』などの内分泌系の病気にかかると、左右対称に毛が抜けたり、皮膚が薄くなったりすることがあります。この場合、痒みは伴わないことが多いと言われています。

ブラッシングでたくさん抜けるのと、病気の脱毛ってどう見分ければいいんですか?これくらいで病院に行っていいのかな…。

換毛期の抜け毛は、全体的にボリュームが減るものの、地肌まで見えることは稀です。 以下のサインがあれば、迷わず病院へ行きましょう。
- 地肌が完全に見えている(ハゲている)
- 皮膚が赤い、ブツブツ(湿疹)がある
- フケやかさぶたが多い
- 同じ場所をしつこく舐めている
これらは、ただの生え変わりではありません。

病院では、まず毛を少し抜いて顕微鏡で見たり、特殊なライト(ウッド灯)を当ててカビがいないか確認したりします。 皮膚に異常がないのに脱毛している場合は、ホルモンの病気を疑って血液検査を行うこともあります。


飼い主として一番知りたいのは、やっぱり『治るのか(また生えてくるのか)』という点です。

原因によって治療法は異なります。
- 感染症(カビ・細菌): 抗真菌薬や抗生物質の飲み薬・塗り薬を使います。
- アレルギー・寄生虫: 駆虫薬(スポットタイプなど)や、除去食試験を行います。
- ストレス: お部屋の環境を見直したり、フェロモン製剤(フェリウェイなど)を使ったりして心を落ち着かせます。

パパちゃん、安心してください。 火傷や深い傷などで毛根自体が死滅してしまっていない限り、原因を取り除けば毛はまた生えてきます。
ただし、毛には『毛周期(ヘアサイクル)』があるので、治療を始めてすぐにフサフサになるわけではありません。 産毛が生えてきて、元の状態に戻るまでには数ヶ月単位の時間がかかることもあります。焦らずじっくり治していくことが大切です。
「ちゃんと生えてくる」と先生に言われてホッとしました。 というのも、わが家の長男「しょうすけ」も、かつて立派なハゲを作ってしまった経験があるからです。

あれは数年前のこと。 ふと、しょうすけの顎の下を見ると、なんだか黒っぽく汚れているように見えました。 「猫ニキビかな?汚れてるな〜」と思って拭いてあげようとしたら…。

ちょっとパパちゃん!これ汚れじゃないわよ!ここだけ毛がない!!
よく見ると、顎の下に結構大きな円形のハゲができていて、かさぶたっぽく黒ずんだ地肌が丸見えになっていたのです。 ママちゃんの悲鳴と共に、僕たちはすぐに病院へ駆け込みました。
検査の結果、犯人は「真菌(カビ)」でした。 どこかで菌をもらってしまったのか、免疫が落ちていたのか…。 先生からは飲み薬と塗り薬を処方されましたが、ここからが大変でした。
しょうすけは普段はお利口なんですが、こういう時は無駄に頭が良いんです(笑)。 薬を飲ませた!と思って安心していると、数分後に部屋の隅っこで「ペッ」と錠剤だけ吐き出しているのを発見した時は、脱力しましたね…。 ちゅ〜るに混ぜても薬だけ『ペッ』吐き出したり…。毎日あの手この手で投薬を続けました。
治療を続けて数週間。 皮膚の赤みやカビっぽさは消え、綺麗な肌色に戻りました。 でも、肝心の毛がなかなか生えてこない…。
「このままツルツルのままだったらどうしよう」と不安になりましたが、先生の言葉を信じて様子を見ていたら、ある日、うっすらと柔らかい産毛が生えているのを発見!

生えてきたー!!
そこからは早かったです。 気にして毎日チェックするのをやめて、忘れた頃にふと見たら、もうどこがハゲていたのか分からないくらい、元通りのフサフサな顎に戻っていました。

この経験での教訓は、「早期発見・早期治療がハゲを広げないコツ」だということ。 それ以来、わが家ではブラッシングのついでに、顎の下や体を入念にチェックするのが日課になっています。

今はこんなにイケメンだけど、あの時は顎がスースーして寒かったなぁ。 パパちゃん、もう変な薬は飲みたくないから、チェック頼むよ〜。

ぼくの自慢のフカフカの毛も、大事にしなきゃ…。 あんまり舐めすぎるとハゲちゃうんだね。気をつけよっと(ペロペロ)。

原因さえ分かればちゃんと治るって聞いて安心したわ。 でも、しょうちゃんみたいに薬を飲むのが大変な子もいるから、やっぱり予防と早期発見が一番ね。

そうだね。毛ヅヤや脱毛は、猫ちゃんの健康のバロメーター。 これからも毎日のナデナデタイムで、よーく観察していこう!

その通りです。脱毛は猫ちゃんからの無言のサイン。 慌てず原因を突き止めて治療すれば、また綺麗な被毛に戻れますよ。 パパちゃん、ママちゃん、これからもその調子でスキンシップを大切にしてくださいね。

