「猫ちゃんにも食物アレルギーがあるって本当?」 「今まで普通に食べていたのに、急に体質が変わることなんてあるの?」
愛猫が首元を痒がっていたり、お腹が緩い日が続いたりすると、「これってもしかしてフードのせい?」と不安になることがありますよね。 でも、毎日同じご飯をあげているし、昨日までは平気だったから違うはず…と思いたいのが飼い主心。

こんにちは、にゃんトピのパパちゃんです。 正直に告白します。僕は最近まで「猫に食物アレルギーがある」ということを、あまり意識していませんでした。 「好き嫌い」はあっても「アレルギー」は人間だけの話だと思っていたんです。
わが家の「しょうすけ」と「ゆうま」は、今のところ何でも美味しく食べてくれています。 しかし、「ある日突然発症することがある」という話を聞いて、急に他人事ではなくなりました。
そこで今回は、にゃんトピの頼れるアドバイザー・猫実先生に、「食物アレルギーの正体」や、一番怖い「後天的に発症するメカニズム」について、基礎から詳しく教えてもらいます。
正しい知識を「お守り」として持ち、愛猫の食事選びや日々の健康チェックに役立てましょう。

アレルギーと聞くと『生まれつき持っている体質』というイメージがあるんですが、猫ちゃんの場合はどうなんでしょうか?

生まれつきの素因も関係しますが、実は『今まで食べていたもの』が原因で、後から発症するケースも少なくないんですよ。

そもそも食物アレルギーとは、体に入ってきた特定の食べ物(主にタンパク質)を、免疫システムが『これは敵だ!ウイルスだ!』と勘違いして攻撃してしまう暴走状態のことです。 牛肉、魚、鶏肉、乳製品など、普段よく口にするタンパク質が原因になることが多いと言われています。


昨日まで大好きで食べていたフードが、急にダメになることもあるんですか?

はい、それが食物アレルギーの怖いところであり、特徴でもあります。 よく『コップの水』に例えられるのですが、長期間、同じ種類のタンパク質(例えばチキンならチキンだけ)を食べ続けることで、体の中で『感作(かんさ)』という準備状態が進むことがあります。
コップに少しずつ水が溜まっていき、ある日限界を超えて溢れ出した瞬間に、突然『痒み』や『下痢』として症状が現れる…というイメージですね。


ええっ!『ずっと同じものを食べているから安心』だと思ってたけど、逆にリスクになることもあるんですね…(冷や汗)。

基本的にはどんな猫ちゃん(雑種含む)でも発症する可能性がありますが、一部の純血種、例えばシャム、ペルシャ、ヒマラヤンなどは、遺伝的にアレルギー体質を持ちやすい傾向があるとも言われています。 ただ、これも『必ずなる』わけではないので、過度に心配しすぎないでくださいね。

具体的に、どんな食材が危ないとかあるんですか?やっぱり添加物とか?


添加物や着色料が反応することもありますが、主な原因は『動物性タンパク質』であることが多いです。 一般的にアレルゲンとなりやすいと言われている食材は以下の通りです。
- 牛肉
- 魚
- 鶏肉
- 乳製品
- その他(小麦、大豆、トウモロコシ、卵など)
キャットフードの主原料として優秀なものばかりですよね。だからこそ、日々の観察が大切なんです。

食物アレルギーのサインとして特徴的なのが、皮膚の症状です。 特に『顔まわり、耳、首』を激しく痒がる傾向があります。
- 目の上や耳の後ろをしきりに掻いている
- 首元を掻きむしって血が出ている
- お腹や内股を執拗に舐めてハゲている
ノミやダニの場合は背中やお尻の方に症状が出やすいので、『顔・首』は一つの見極めポイントになります。

皮膚に出ずに、お腹にくる子もいます。
- フードを変えていないのに、軟便や下痢を繰り返す
- 1日に何度も排便する
- 食べてしばらくすると吐いてしまう
『お腹が弱いのかな?』で見過ごされがちですが、実は毎日食べているフードが合わなくなっている可能性もあるのです。


もし『怪しいな』と思ったら、病院ですぐに分かるものですか?血液検査とか?

血液検査(IgE検査など)もありますが、実は食物アレルギーに関しては、血液検査だけでは完全に原因を特定できないことが多いんです。あくまで『参考値』ですね。

最も確実な診断方法は、『除去食試験(じょきょしょくしけん)』と呼ばれるものです。 これは、『今までに一度も食べたことがないタンパク質(新奇タンパク)』を使ったフードや、タンパク質を細かく分解して体が反応しないようにした『加水分解フード』だけを、1〜2ヶ月間与え続ける方法です。
これで痒みや下痢が治まれば、『以前の食事が原因だった』と判断できます。

治療の基本はシンプルで、『原因となる食材を体に入れないこと』に尽きます。 痒みがひどい場合はステロイド剤などを使うこともありますが、それはあくまで症状を抑える一時的なものです。 自分に合ったフードを見つけて、それを食べ続けることが、一番の治療であり予防になります。

最近は、分子レベルまで小さくした『療法食』がたくさん出ています。 自己判断で市販の『グレインフリー(穀物不使用)』などを選ぶ飼い主さんもいますが、原因が穀物ではなく鶏肉だった場合は意味がありません。 食事療法を行う際は、必ずかかりつけの獣医師と相談しながら進めてくださいね。

猫実先生の話を聞いて、ママちゃんと緊急家族会議を開きました。 今のところ、わが家の「しょうすけ」と「ゆうま」には、目立ったアレルギー症状はありません。
でも、「昨日まで平気だったものが、急にダメになる」という話は、正直かなり衝撃でした。
実はこれまで、僕は「このフードなら絶対食べる!」と決めた銘柄(チキン味)を、何年も買い続けていました。*だって、別の味に変えると、しょうちゃんもゆうまさんも露骨に「え、これじゃない…」という顔をして食いつきが悪くなるんですもん…。

『よく食べる=体に合っている』だと思い込んでいましたが、同じタンパク質を与え続けることがリスクになるなんて…。 良かれと思ってやっていたことが、コップの水を溜める行為だったかもしれないと反省しました。
特に次男のゆうまは「エキゾチックショートヘア」。 先生のお話にもあった「ペルシャ」の血を引く猫種です。遺伝的な傾向がゼロではないと頭の片隅に入れておく必要があります。


今すぐ全部変えるのはお腹がびっくりしちゃうけど、これからは『フードローテーション』を意識したほうがいいかもね。 チキン味だけでなく、たまにお魚メインの日を作るとか、数種類を食べられるようにしておくとか。

そうだね。災害時の備えとしても『これしか食べない』はリスクだしね。 今後は、彼らの『好き』を尊重しつつも、成分表をしっかり見て、タンパク源が偏りすぎないように計画的にローテーションしていこうと決意しました。
「知識は荷物にならない」。 もし将来、彼らが体を痒がったりお腹を壊したりしたら、今日の話を思い出してすぐに病院で相談できるようにしておきたいと思います。

え〜!ぼく、いつもの『あのカリカリ』じゃないと絶対食べないからね! パパちゃん、違う匂いのごはん出したら、ハンガーストライキしちゃうぞ!

ぼく、おいしいならなんでもいい…。 でも、かゆいのはイヤだなぁ…

もう、しょうちゃんは本当に頑固なんだから(笑)。 でも、万が一アレルギーになった時に『これしか食べられない』だと困っちゃうから、健康のために少しずつ他の味にも慣れていこうね。

こりゃあ、フードローテーションを定着させるのは根気が要りそうだ(苦笑)。 でも、突然アレルギーになっても慌てない知識がついたのは大きいよ。これからは成分表を真剣に見ながら、彼らが気に入る『新しい味』を粘り強く探してみるよ。

ふふ、偏食な猫ちゃんとの知恵比べも、飼い主さんの愛があってこそですね。 食事は毎日のことですから、神経質になりすぎて疲れてしまっては本末転倒です。 今日のように『変化』に気づける知識を持っておくことは、必ず猫ちゃんを守る力になります。適切な距離感で、愛猫の食生活を見守ってあげてくださいね。

