丸い顔にぎゅっと詰まったほっぺ、ずっしりしたボディにぬいぐるみのような手触り——ブリティッシュ・ショートヘアは、まさに「動くテディベア」のような猫種です。
性格は穏やかでマイペース、鳴き声も控えめ。激しすぎる遊びより、家族のそばでゆったり過ごす時間を好む子が多く、日本のマンション暮らしとも相性◎なタイプといえます。
ここでは、ブリティッシュ・ショートヘア(通称:ブリティッシュ/ブリショー)の基本データから性格、飼い方のコツ、子猫の選び方までを、初めて猫を迎える方にも分かりやすく解説します。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産国 | イギリス |
| 毛の長さ | 短毛(とても密なダブルコート) |
| カラー | ブルー(ブリティッシュブルー)を代表に、ホワイト/ブラック/レッド/クリーム/シルバー/ゴールデン/チョコレート/ライラックなど非常に多彩 |
| 模様パターン | ソリッド、タビー各種、バイカラー、トーティー、シェーデッド、カラー・ポイントなど幅広い |
| 体重 | オス約4〜7kg/メス約3〜5kgが目安(中〜大型・がっしり体型) |
| 性格 | 穏やかでおっとり、人懐っこくマイペース。落ち着いていて騒がしくないタイプと言われる |
| 寿命(一般例) | 約12〜16年前後(平均13歳前後というデータもあり) |
| 公認団体 | CFA・TICA・FIFe・GCCF で公認 |
| 入手難易度(日本) | ★2:比較的見つけやすいが、カラーや血統次第では待ちや価格アップも |
💡特徴
がっしりした骨格に丸い頭、まんまるな大きな目、むっちりほっぺがチャームポイントの「テディベア体型」の短毛種です。
全身を覆う被毛はとても密度が高く、撫でると手が少し沈み込むようなモフモフ感。脚は太くやや短めで安定感があり、歩き方もどちらかというとトコトコと落ち着いた印象です。声は控えめで、過度にベタベタするより「静かにそばにいる」タイプの子が多く、まさに“英国紳士・淑女”の雰囲気を漂わせます。
| 区分 | 難易度 | 主な入手先 |
|---|---|---|
| ペットショップ | 都市部の大手チェーンや総合ペットショップで通年で取扱いあり | |
| ブリーダー | ブリティッシュ専門・短毛種中心のブリーダーが全国に複数 | |
| 里親募集 | 純血はごく稀。多くは「グレーの丸顔ミックス」として募集 |
💬 解説
ブリティッシュ・ショートヘアは、純血種の中でも比較的ポピュラーで、日本でもペットショップやブリーダーから比較的探しやすい猫種です。
価格帯はおおむね15〜30万円前後がボリュームゾーンで、人気のブルーや希少なカラー・ショー系血統では30万円台になることもあります。
一方で、里親募集サイトに「ブリティッシュ」と明記された純血成猫が出るのはかなりレアケース。丸顔のグレー猫やずんぐり体型のミックスとして募集されることが多く、「血統書付きのブリショーを保護猫で」というのは難易度高めです。
💡 豆知識
「ブリティッシュブルー」と呼ばれる灰色の単色(ブルー)があまりにも有名なため、「ブリティッシュ=ブルーしかいない」と思われがちですが、実際には茶系・白黒・シルバータビーなど、色も柄もとても豊富です。
- 穏やかでおっとりしている
- マイペースで落ち着きがある
- 人懐っこいが、ベタベタしすぎない“静かな甘えん坊”
- とても穏やかでマイペース。大きな音や来客にもパニックになりにくく、「安定感のある性格」で一緒にいて安心できる。
- ベタベタした甘え方ではなく、そっと人のそばでくつろぐ距離感が心地よい。読書やPC作業の横で丸くなってくれる“静かな相棒”として人気。
- 鳴き声が比較的控えめで、「うるさくない」「マンションでも飼いやすい」という声が多い。来客にも落ち着いて挨拶できる子も多い。
- もともと体格がしっかりしているうえ、運動量はそれほど多くないため太りやすい。肥満による関節や心臓への負担を心配する声が多い。
- 短毛でも非常に密なダブルコートなので、換毛期の抜け毛はしっかりある。ブラッシングをサボると抜け毛と毛球症が気になる。
- クールで自立心が強い子もいて、「抱っこはそんなに好きじゃない」「かまいすぎるとスッと離れていく」タイプも。常にベタベタしたい人には物足りなさを感じることも。
- 動かないクマのぬいぐるみ
ソファの角でどっしり座っている姿が完全にインテリア。来客に「それ、置物?」と言われてから、もぞっと動き出して驚かせる。 - ジャンプより階段派です
華麗な大ジャンプより、どっしり一段ずつ昇降が得意。キャットタワーもエスカレーター感覚でゆっくり制覇する。 - 撫でていい時間は猫様次第
こちらがモフりたい時はすっと離れ、集中してる時に限って足元でゴロン。「今なら特別に許可するよ」という顔をしている。 - 表情はクール、中身は甘えん坊
どんな時もやや不機嫌そうな真顔だが、実はごはん前に小さく喉グル。ツン8割・デレ2割くらいがちょうどいい。 - 床が一瞬でラグ化
短毛なのに密度がすごく、換毛期は歩くたびにフワッと毛が舞う。コロコロと粘着テープが家族の正式メンバーに。 - ひとり遊びのプロフェッショナル
お気に入りのボールを見つけたら、一人でサッカー開始。人間が入る余地もなく、黙々と自主練を続けている。 - 背中タプタプ選手権優勝候補
首から腰にかけてのむにっとした密度がすごくて、つい軽くタプタプしたくなる。やりすぎると、無言で席を立たれる。 - 視線だけで会議に参加
家族会議のテーブルの端に鎮座し、丸い目でじっと見つめてくる。何も言わないのに「今の案は気に入ってないな」と伝わる。 - 抱っこは“短時間コース”
抱き上げるともふもふで幸せだが、数十秒で「そろそろ降ります」と静かにもがく。抱っこはスナック感覚で楽しむのが正解。 - 寝相だけは油断しないで
普段は上品なのに、寝る時は大の字・へそ天・ねじれポーズとやりたい放題。丸顔とのギャップに毎回笑ってしまう。

ブリティッシュ・ショートヘアのルーツは、古代ローマ人がイギリスに持ち込んだと言われる家猫たちにさかのぼります。害獣駆除の目的で連れてこられた猫たちが、のちにブリテン島の土着猫と交わり、寒く湿ったイギリスの気候に適応した、がっしり体型で被毛の密な「イギリスの家庭猫」として広がっていきました。長い年月の間、農場や街中でネズミ取りの名手として活躍し、人々の生活を支えてきたこれらの猫が、現在のブリティッシュ・ショートヘアの原型だと考えられています。
19世紀後半、ロンドンで世界初の近代的なキャットショーが開かれると、当時の愛猫家たちはこの「ブリテン島の家猫」に注目し、丸い頭とがっしりした体を持つ個体を選抜して計画的な繁殖を始めました。青一色の被毛を持つ「ブリティッシュブルー」は特に人気を集め、ショーでも大きな話題に。しかし20世紀に入ると二度の世界大戦の影響で頭数が激減し、血統維持のためにペルシャなどの長毛種との交配が行われます。その結果、現在見られるような丸顔や厚い被毛がより強調されたスタイルが確立していきました。
戦後は、ペルシャの血が増えすぎて体型や毛質が崩れないよう注意しながら、ブリティッシュらしい「がっしり体型+密な短毛」を保つための選抜が続けられます。1970年代にはCFA・TICA・FIFe・GCCFなど主要な猫種登録団体で次々と公認され、チャンピオンシップクラスでショーに出場できる品種となりました。
現在では、クラシックなブルーだけでなく、多様なカラーとパターンを持つブリティッシュ・ショートヘアが世界中で親しまれています。日本でも「丸くて落ち着いた家猫」の代表として、家庭でもキャットショーでも人気の高い猫種です。
環境づくり
- 静かで落ち着ける居場所(ベッドや猫専用ソファ)をいくつか用意する
- 高さよりも安定感のあるキャットタワー・ステップを設置(飛び降り負担を減らす)
- 体格が大きめなので、トイレやベッドはワンサイズ余裕のあるものを選ぶ
食事
- 太りやすい体質を意識し、年齢・活動量に合った総合栄養食を適量守って与える
- おやつは少量に抑え、定期的に体重・体型(くびれ・肋骨の触りやすさ)をチェックする
遊び
- スプリント系より、ゆったり追いかけるオモチャや知育トイなど“のんびり遊び”を取り入れる
- 一日に数回、短時間でもいいので必ず人が一緒に遊ぶ時間を作り、運動不足とストレスを予防する
先天的な病気やリスク、老後になりやすい病気等を以下に記載します。
| 病名 | 内容 |
|---|---|
| 肥満・肥満関連疾患 | 太りやすい体質の子が多く、肥満になると糖尿病・関節炎・心臓病などのリスクが上昇。カロリー管理と日々の運動が重要。 |
| 肥大型心筋症(HCM) | 純血種全般で問題になる心臓病の一つ。遺伝的素因も指摘されており、親猫に心エコー検査を行うブリーダーも増えている。 |
| 尿路トラブル・下部尿路疾患 | 体重増加や水分摂取量不足、ストレスなどが関係しやすい。トイレ砂のチェックや定期的な健康診断で早期発見を心がけたい。 |
📊 平均寿命(一般例):約12〜16年前後
💡 年1回(シニア期は半年に1回)の健康診断と、体重・食欲・排泄のチェックを習慣にすることで、病気の早期発見と長生きにつながります。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 平均価格 | 約15〜30万円前後(希少カラーやショー系血統は30万円台も) |
| 価格差の要因 | 血統(ショーラインかどうか)、毛色・目の色の組み合わせ、容姿のバランス、月齢、ワクチン・マイクロチップ・避妊去勢の有無など |
| 購入ルート | ペットショップ、ブリーダー直販サイト、キャッテリーからの直接譲渡など |
💡 選び方のコツ
写真の可愛さだけでなく、親猫の性格・健康状態を必ず確認しましょう。
・親猫が過度に神経質でないか
・心臓や腎臓、遺伝性疾患の検査を行っているか
・肥満予防やごはんの量、ブラッシングの頻度について具体的に説明してくれるか
といった点は、信頼できるブリーダーやショップを見分ける大事なポイントです。
リビングで家族がテレビを見ていると、その少し離れた場所に、どっしり座るブリティッシュ・ショートヘア。決して真ん中に割り込んではこないけれど、視界の端にはいつも丸い背中が見えている——そんな“程よい距離感”が日常になります。
朝は家族が起きてくる気配を感じると、静かに足元にやってきて「おはよう」と目で挨拶。夜は一日の終わりに、ソファやベッドの足元で丸くなり、一緒にまどろむ時間を過ごします。激しすぎる遊びは少なめですが、ふとした瞬間にボールを追いかけたり、ひとりサッカーを始めたりと、クスッと笑わせてくれるお茶目さも持ち合わせた、落ち着きと癒やしの同居する暮らしになります。
| 飼い主タイプ | 相性度 |
|---|---|
| 初心者 | |
| 共働き家庭 | |
| 子どもがいる家庭 | |
| 1人暮らし |
💬 コメント
穏やかで騒がしくない性格の子が多く、「初めて猫を飼う」「小さな子どもがいる家庭」「一人暮らしで静かな時間を一緒に過ごしたい」という人と好相性です。ただし、太りやすさや抜け毛ケアは必要なので、「毎日ちょっとしたお世話を楽しめる人」に特に向いています。
| 猫種 | 性格 | 入手難易度 | 飼いやすさ |
|---|---|---|---|
| アメリカンショートヘア | 明るく活発で遊び好き。人懐っこく好奇心旺盛 | 運動量は多めだが、短毛でお手入れしやすく初心者向け | |
| ロシアンブルー | 飼い主には甘えん坊だが、ややシャイで慎重な一面も | 静かな性格で鳴き声も小さいが、甘え方が控えめな子も | |
| スコティッシュフォールド | おっとり穏やかで甘えん坊。人とのスキンシップが好き | 性格は飼いやすいが、関節など遺伝的な健康リスクに要注意 |

パパとママ、この「まんまる顔の青い猫」かわいいって言ってるけどさ、ぼくとキャラかぶらない? ぼくのほうが運動神経いいし、ちゃんとアピールできるかな。

ブリティッシュさんは、しょうちゃんよりもっと「のんびり担当」かな。運動神経はあるけど、基本はどっしりマイペース。しょうちゃんが元気に走り回って、ブリショーさんがソファでどーんと構える、いいバランスになりそうだよ。

あの子たち、あんまり鳴かないって聞いたけど、本当? ぼくはごはん前はちゃんとアピールしたい派なんだけど。

本当に比較的静かな子が多いよ。「ごはん〜!」って叫ぶより、じっと見つめたり、そっと近くに座ったりするタイプ。しょうちゃんがボイス担当、ブリショーさんが“無言の圧”担当って感じかな。

体がずんぐりしてるけど、あれって筋肉? それとも…その…食べ過ぎ?

もともと骨太で筋肉質なんだけど、確かに太りやすい猫種なんだ。運動量はそこまで多くないのに食べるのが好きな子も多いから、カロリーコントロールと遊びでの運動が大事になるね。しょうちゃん、ダイエット仲間になってくれる?

毛はそんなに長くないのに、ブラシってやっぱり必要? ぼくは短毛だからサボりたい派なんだけど…。

短毛だけど、1本1本がすごく密で詰まっているから、意外と抜け毛は多めだよ。週に数回でもブラッシングしてあげると、毛球症予防にもなるし、なにより気持ちよく過ごせるんだ。しょうちゃんも「ごほうびナデナデ」とセットなら、ちょっとがんばれるかな?

もしうちにブリティッシュさんが来たら、ママはどこをいちばん気をつけて見るの? ぼく、ちゃんと先輩できるかな。

まずは体重とごはん管理かな。それから、静かな子が多いから、体調の変化を見逃さないように毎日様子を見ること。しょうちゃんには、「遊びに誘ってあげる係」と「ごはん横取りしない係」をお願いしたいな。一緒にのんびり暮らせる家にしていこうね。

ブリティッシュ・ショートヘアは、まんまるなお顔とどっしりした体で、家族に“安心感”をくれる猫。うるさく自己主張するタイプではないけれど、静かにそばにいてくれる時間がとてもあたたかいね。そのぶん、太りやすさや抜け毛などのケアはしっかり必要だけれど、毎日のブラッシングや体重チェックも含めて、家族とゆったり向き合える人にはぴったりの相棒になってくれると思うよ。
