【猫白血病】完全室内飼いなら大丈夫?原因・感染経路・予防法をやさしく学ぶ

白血病ウイルスを持った猫がグルーミングをしている

「猫白血病」という病名を聞くと、どうしても「怖い病気」「治らないの?」と不安になってしまいますよね。 「白血病」という響きだけで、人間のがんのような重い病気を想像して、足がすくむような思いをする方も多いのではないでしょうか。

特に、これから猫ちゃんと暮らし始める方や、近所に外猫さんが多い環境にお住まいの方にとっては、ネット検索をすればするほど怖い情報が出てきて、心配で眠れなくなる…そんな経験はありませんか?

パパちゃん
パパちゃん

こんにちは、にゃんトピのパパちゃんです。 わが家の愛猫、アメショの「しょうすけ」とエキゾの「ゆうま」は、完全室内飼いです。

外に出さないから大丈夫だとは頭で分かっていつつも、「もしもほんの隙に脱走したら?」「僕らが外で触った猫ちゃんのウイルスを服につけて持ち帰っちゃったら?」なんて、ママちゃんと真剣に話し合うことがあります。

そこで今回は、にゃんトピの頼れるアドバイザー、猫実先生に「猫白血病」について、むやみに怖がりすぎず、正しく対策するための「知識」を教えてもらいます。

病気のメカニズムを知り、それぞれの家庭環境に合った「正しい予防(距離感)」を一緒に見つけましょう!

まずは知っておこう!猫白血病ウイルス感染症(FeLV)とは?

猫の白血病とは?
パパちゃん
パパちゃん

『白血病』という名前がついているので、人間のがんと同じような病気なのかな?と想像してしまうのですが、実際はどうなのでしょうか?

猫実先生
猫実先生

確かに名前は似ていますが、まずは『敵(ウイルス)』の正体を正しく知るところから始めましょうか。

人間の白血病とは違うの?(ウイルスと病気の仕組み)

猫実先生
猫実先生

まず、猫白血病(FeLV)は『猫白血病ウイルス』というレトロウイルスの一種に感染することで起こる感染症です。感染すると、白血病(血液のがん)やリンパ腫を発症したり、免疫力が極端に低下したりすることがあるため、この名前がついています。

ママちゃん
ママちゃん

感染したら、すぐに病気になっちゃうんですか?(怖)

猫実先生
猫実先生

そこが重要なポイントです。『感染=即発症』ではありません。 健康で免疫力がしっかりしている猫ちゃんであれば、ウイルスが入ってきても、自分の免疫力でウイルスを排除できることもあるんです。これを『陰転(いんてん)』と呼んだりします。 一方で、ウイルスを排除しきれずに体内に居座ってしまう状態を『持続感染』と言います。この状態になると、将来的に発症するリスクが高まると言われていますね。

よく聞く「猫エイズ(FIV)」との違い

パパちゃん
パパちゃん

よくセットで聞く『猫エイズ(FIV)』とは何が違うんですか?

猫実先生
猫実先生

どちらも免疫機能を壊してしまう怖い病気ですが、原因となるウイルスの種類が違います。覚えやすい違いとしては『感染力の強さ』でしょうか。

猫エイズ(FIV)との違い
  • 猫エイズ(FIV)
    主にケンカによる深い噛み傷(血液)から感染。感染力は比較的弱め。
  • 猫白血病(FeLV)
    唾液にも多くのウイルスが含まれるため、グルーミングや食器の共有でも感染する可能性があります。FIVより感染力が強い傾向にあります。

どちらもワクチンや予防法がありますが、まずは『感染経路』を遮断することが第一です。

どこからうつるの?主な感染経路とリスク

ママちゃん
ママちゃん

うちは完全室内飼いで一歩も外に出さないんですけど、それでも感染する可能性ってあるんですか?

濃厚接触がカギ!唾液・鼻水・グルーミング

猫実先生
猫実先生

猫白血病ウイルスの主な感染源は、感染している猫ちゃんの唾液、鼻水、糞尿、涙、母乳などです。 特に多いのが『唾液』感染です。仲の良い猫同士でグルーミング(毛づくろい)をしあったり、同じお皿でご飯やお水を飲んだりするような『濃厚接触』で感染が広がることが多いですね。

パパちゃん
パパちゃん

なるほど…。ということは、外でケンカして帰ってきた場合(血液感染)だけでなく、外の猫ちゃんと鼻と鼻をくっつけて挨拶するだけでもリスクがあるってことですね。

母子感染と多頭飼育のリスク

猫実先生
猫実先生

また、母猫が感染している場合、胎盤や母乳を通じて子猫に感染する『母子感染』のリスクも非常に高いです。 多頭飼育をしているご家庭で、新しく迎えた子がキャリア(感染している状態)だった場合、先住猫ちゃんたちと食器やトイレを共有することで感染が広がるケースもあります。

【重要】「空気感染」はするの?

猫同士のウイルスが空気感染するか?
パパちゃん
パパちゃん

実はネットで『空気感染する』という記事を見たことがあるんですが、僕が外で空気を吸って、家の中で吐き出したらうつる…なんてことはありますか?

猫実先生
猫実先生

いいえ、パパちゃん。そこは過剰に心配しなくて大丈夫ですよ。 猫白血病ウイルスは、外界(体の外)に出ると非常に弱く、数分〜数時間で死滅してしまうと言われています。インフルエンザのように空気中をふわふわ漂って感染を広げる『空気感染』のリスクは、通常の生活環境では極めて低いと考えられています。

猫実先生
猫実先生

ただし、感染した猫ちゃんのくしゃみを至近距離で直接浴びるような『飛沫感染』の可能性はゼロではありません。 飼い主さんの服や靴についたウイルスに関しても、帰宅後に手洗いや着替えをするなどの一般的な衛生管理をしていれば、そこから感染するリスクは低いでしょう。必要以上に怯える必要はありませんよ。

もし感染したら…?知っておきたい症状と検査

初期症状は「風邪」に似ている?

猫実先生
猫実先生

もし感染して発症した場合、初期段階では発熱や元気消失、食欲不振といった症状が出ることがあります。でもこれ、ただの風邪やお腹の不調と区別がつきにくいんですよね。

ママちゃん
ママちゃん

見た目じゃすぐに分からないんですね…。

進行した際に見られる症状(貧血・腫瘍・免疫不全)

猫実先生
猫実先生

ウイルスが体内で悪さをし始めると、以下のような深刻な症状が現れることがあります。

深刻な症状例
  • 貧血: 歯茎や舌が白っぽくなる、疲れやすくなる。
  • リンパ腫・白血病: 胸やお腹にしこりができたり、血液のがんになったりする。
  • 免疫不全: 免疫が低下し、口内炎が治らない、傷が膿みやすい、風邪が長引くなど。

特に『口内炎が全然治らない』という理由で病院に来て、検査したら白血病陽性だった、というケースは少なくありません。

動物病院での検査方法

パパちゃん
パパちゃん

感染しているかどうかは、どうやって調べるんですか?

猫実先生
猫実先生

基本的には動物病院での血液検査です。少量の血液を採り、院内の検査キットを使えば数十分で判定できます。 ただ、感染直後だとウイルスが検知できない期間(ウインドウ期)があったり、一度陽性でも後に陰転する場合があったりするので、確定診断のために外部の検査機関でPCR検査を行うこともあります。

治療法と、私たちにできる予防策

残ながら、猫白血病ウイルスを体内から完全に消し去る特効薬は、現代の獣医療ではまだ確立されていません。だからこそ「予防」が最大の治療と言えます。

対症療法とインターフェロン

猫がインターフェロンを投与されている

もし発症してしまった場合は、症状を和らげる『対症療法』が中心になります。 インターフェロンや抗ウイルス薬を使ってウイルスの増殖を抑えたり、免疫力をサポートしたりする治療が行われます。また、細菌感染を併発している場合は抗生物質を使います。 『完治』は難しくても、適切なケアで穏やかに過ごせる時間を延ばすことは可能です。

ワクチンの効果と接種の考え方

猫が健康診断を受けている

予防として『混合ワクチン』があります。よく『3種混合』『5種混合』などと聞くと思いますが、一般的に猫白血病(FeLV)が含まれるのは5種以上のワクチンです。 外に出る習慣がある猫ちゃんや、多頭飼育でリスクがある場合には接種が強く推奨されます。 一方で、完全室内飼いで接触リスクがない場合は、副作用のリスクなども考慮して『3種混合』で十分と判断されることも多いです。ここはかかりつけの先生とよく相談してください。

最強の予防策は「完全室内飼育」と「去勢・避妊」

パパちゃん
パパちゃん

やっぱり、外に出さないのが一番なんですね。

猫実先生
猫実先生

その通りですパパちゃん。『感染猫と接触させない』ことこそが、100%に近い予防策です。 また、避妊・去勢手術をすることも重要です。発情期の脱走衝動や、ケンカによる接触リスクを大幅に減らすことができますからね。

わが家は「検査」よりも「鉄壁の守り」。完全室内飼いのリアルな対策

「毎年、ワクチンと一緒に白血病の検査もするべき?」 これは多くの飼い主さんが悩むポイントだと思います。わが家も悩みましたが、かかりつけ医とも相談の上、自分たちなりの「ルール」を決めて運用しています。

FeLV/FIV検査は「子猫の時に一度だけ」の理由

ママちゃん
ママちゃん

わが家のしょうすけ・ゆうまは、結論から言うと毎年のウイルス検査(FeLV/FIV)は行っていません。

その理由はシンプルです。 2匹とも子猫でお迎えした際に一度検査を行い、「陰性」を確認しているからです。 それ以来、新しい猫を迎えておらず、2匹とも一歩も外に出ていません。つまり、「感染経路が物理的にゼロ」なんです。

パパちゃん
パパちゃん

ウイルスは自然発生するものではないので、持ち込まなければ感染りようがない、という理屈です。 もちろん、毎年の健康診断で一般的な血液検査(肝臓や腎臓の数値チェック)は必ずしていますが、ウイルス検査のオプション代は節約して、その分を彼らの美味しいご飯や、次の対策費に回しています。

その代わり全力!「絶対に持ち込ませない」脱走防止対策

検査にお金をかけない分、わが家では「脱走防止」という物理的な守りに気を使っています。
※これは室内飼いの猫飼いさんは皆さん病気うんぬんとはでも気を使っていると思いますが・・・

パパちゃん
パパちゃん

特にアメショのしょうちゃんは、玄関のチャイムが鳴ると『誰か来た!僕のお客さんだ!』と玄関までダッシュでお出迎えしちゃう事が多いタイプ。 配達員さんの足元をすり抜けて外に出たら…と考えるとゾッとするので、玄関の手前に高さのある脱走防止ゲートを設置して、物理的に出られないようにしています。

ママちゃん
ママちゃん

逆にエキゾのゆうまさんは、ピンポンが鳴ると自分が安全と思っているポジションに隠れるビビリ屋さん。 でも、ゆうまさんは運動神経がちょっと残念で(笑)、キャットタワーからもよく落ちるんです。 こんなどんくさい子が外に出たら、ウイルス以前に車やカラスから逃げきれない! そして、ぼーっとしてるから一旦出たら迷子になりそう!(笑)だから、網戸には全部ロックを付けて、ベランダにも基本的には出さないようにしています。病気のために対策しているわけではなく普通に脱走防止ではありますが、結果的には最大の予防策です。

その代わもしも「新しい猫」を迎える時が来たら…?り全力!「絶対に持ち込ませない」脱走防止対策

ただ、このルールにも例外があります。 もし将来、ご縁があって保護猫ちゃんなどを新しく迎えることになったら。

その時は、必ず「隔離期間」を設け、ウイルス検査で陰性を確認するまでは、絶対にしょうすけ・ゆうまとは会わせないつもりです。 先住猫である彼らの安全を守るのは、飼い主である僕たちの絶対的な義務ですからね。

まとめ|にゃん🐾トピ編集部と猫実先生の「猫談義」 🐾

ママちゃん
ママちゃん

最初は『白血病』って聞いてすごく怖かったけど、うちは『完全室内飼い』を徹底してるから、そこまで神経質にならなくていいのね。ちょっと安心したわ。

パパちゃん
パパちゃん

そうだね。外に出る子なら毎年の検査やワクチンが必須だけど、うちは『持ち込まない・出さない・逃がさない』が最大の予防策だ。 ゆうまさん、君はどんくさいから絶対外は無理だしね(笑)

ゆうまさん
ゆうまさん

……ぼく、おうちのなかがいい。ふかふかのベッドもあるし…。 それよりパパちゃん、ごはんまだ?(ゴロン)

しょうちゃん
しょうちゃん

パパちゃん!玄関開けたらすぐ閉めてよね!この前、小さい虫が入ってきて大騒ぎだったじゃん!(といいつつ、興味津々で窓の外の鳥を見ている)

猫実先生
猫実先生

ふふ、平和で何よりですね。 その通りです。お家の中の環境がクリーンであれば、過剰な検査は必要ありません。その分、今の『安全な環境』を維持することに注力してください。 パパちゃんのお家の『鉄壁の守り(脱走防止)』こそが、彼らにとっての最高のワクチンですよ。これからもその調子で、猫ちゃんたちとの幸せな時間を守ってあげてくださいね。