スフィンクスの性格・特徴・飼い方|“裸の甘えん坊”と暮らすための教科書

スフィンクス

見た目のインパクトが強すぎて、一度見たら忘れられない猫・スフィンクス。
でも中身は、とにかく人が大好きな超甘えん坊タイプです。
ここでは、日本でスフィンクスを迎えたい・気になっている飼い主さん向けに、性格や特徴、健康管理、価格相場までまとめて解説します。


基本データ&見た目の特徴

スフィンクスの見た目と特徴
項目内容
原産国カナダ(1960年代、オンタリオ州などで無毛の子猫が生まれたことがきっかけ)
毛の長さ無毛〜極短毛(産毛のような被毛。手ざわりはスエード/桃の皮のよう)
カラー全色・全パターン可(白・黒・ブルー・レッド・クリーム、タビー・バイカラー・トーティなど)
模様パターン制限なし(ソリッド/タビー/トーティ/ポイントなど。模様は皮膚色にも現れる)
体重オス約4〜6kg/メス約3〜5kg(中型・筋肉質)
性格甘えん坊・社交的・好奇心旺盛・遊び好きで、“犬っぽい”人懐っこさがあると言われる
寿命(一般例)12〜15年前後(海外では15〜20年とする情報も。体質や飼い方で個体差あり)
公認団体CFA・TICA・FIFe・GCCF で公認
入手難易度(日本)★4(かなり困難:ショップ常設は少なく、国内少数ブリーダー・輸入が中心)

💡特徴
しわの寄った裸の皮膚、大きな耳、レモン型の目、しっかりした筋肉質ボディがスフィンクスのシルエット。被毛がほとんどないため体温がやや高く感じられ、人肌を求めて膝や布団に潜り込む子が多い猫種です。その一方で、寒さ・直射日光・乾燥には弱く、洋服やブランケット、室温管理、皮膚のお手入れがほぼ必須になります。


日本での入手難易度・流通状況

区分難易度主な入手先
ペットショップ 大手チェーンの取り寄せ対応店、珍しい猫種を扱う専門店
ブリーダー 子猫ブリーダーサイト掲載の専門ブリーダー、海外ブリーダーからの輸入代行
里親募集 ごく稀に里親サイト・保護団体で「スフィンクス風」として出る程度

💬 解説
日本ではまだ頭数が少なく、一般的なペットショップで常に会える猫種ではありません。
実際の入手ルートは、

  • 国内の専門ブリーダーに予約して出産を待つ
  • 輸入代行を利用して海外ブリーダーから迎える

ケースがほとんどです。

価格は記事によって幅がありますが、おおよそ 30〜50万円前後 を見ておくと現実的です(毛色・性別・血統・輸入費用などで上下)。珍しい猫だからこそ、心臓の検査歴(HCM)や親猫の情報、皮膚ケア・室温管理などの説明をきちんとしてくれるショップ/ブリーダーを選ぶことがとても重要になります。

💡 豆知識
「毛がないからアレルギーが出ない」と思われがちですが、アレルギー源は主に“フケや唾液中のタンパク質”。スフィンクスも完全な低アレルギー猫ではない点は覚えておきましょう。


性格と行動の特徴

  • とにかく甘えん坊で人間大好き
  • 社交的で来客にもフレンドリーになりやすい
  • 好奇心旺盛・遊び好きで、「犬っぽい」一面もある
飼い主の声:良いところ
  • とにかく人間大好きで、家中どこへでもついてくる。来客にもフレンドリーで「犬みたい」と言われることが多い。
  • 被毛がほとんどないので抜け毛掃除はかなりラク。洋服やソファに毛がつきにくく、アレルギーもちの家族にも好評な場合がある(※完全な低アレルギーではない)。
  • 遊び好きで知育トイや「持ってこい」遊びもよく覚える。家族とのスキンシップ時間がとても濃い。
飼い主の声:気になるとこ
  • 皮膚に皮脂がたまりやすく、定期的な体拭き・シャンプーが必要。サボるとベタつきやニキビ、においが気になるという声も。
  • 被毛が少ないぶん、寒さ・直射日光・乾燥に弱い。夏冬ともエアコンや衣類、日差し対策が必須で、光熱費・手間がかかる。
  • 肥大型心筋症(HCM)など心臓病のリスクが指摘されており、定期的な健康診断とブリーダー段階での検査確認が重要。

スフィンクスあるある10選

  • 暖房センサーは僕です
    エアコンを切ると、すぐに膝の上に集合。飼い主の太ももを“追加暖房”としてフル活用。
  • 服持ち猫、爆誕
    タンスに人間用より猫用の服が多い。季節の変わり目は衣替えという名のファッションショー。
  • 日向を追う移動太陽電池
    窓辺→床の光の線→別の部屋のひなた、と一日中日差しを追いかけて移動。充電完了するとその場で爆睡。
  • スキンシップは文字通り“スキン”
    触るとあたたかいすべすべ肌に人間が沼落ち。撫でる手が止まらず、家事の進行が大幅に遅れる。
  • お風呂は…嫌いじゃないかも?
    皮脂ケアのためのシャンプー。最初はイヤイヤでも、終わった後のふわふわバスタオルタイムが意外と好き。
  • 布団の中の先客
    就寝時、布団に入るとすでに足元が占領されている。うっかり蹴らないよう、人間側が遠慮して寝返り。
  • 来客の視線を総ざらい
    「はだかの猫、初めて見た!」とお客様の話題を独占。気づけば写真フォルダがスフィンクスだらけに。
  • ヒーター前は譲れない
    冬場の暖房前は早い者勝ち。ストーブガード越しにとろけながら、家族の足元スペースをじわじわ侵食。
  • 肉球スタンプ職人
    皮脂のついた肉球で床やPCにスタンプ。拭き掃除のたびに「今日も元気だったね」と確認するのがルーティン。
  • 裸なのにおしゃれ番長
    シンプルなタンクトップ一枚でも“着こなし感”がすごい。SNSに上げると「モデルさんですか?」とコメントがつく。

歴史とルーツ

現在のスフィンクスのルーツは、1960年代のカナダにさかのぼります。オンタリオ州トロント近郊で、生まれつき被毛のない子猫が何度か生まれ、そのうちの1匹「Prune(プルーン)」を基礎に、地元のブリーダーが計画的な繁殖を始めたと言われています。世界各地ではそれ以前から「毛のない猫」の報告はありましたが、現代のスフィンクスは、このカナダ発の系統をベースに意図的な選抜と交配を重ねて確立された品種です。

初期のスフィンクスは体質が弱く、出産数が安定しないなどの問題も抱えていました。そのため、カナダの家庭猫(Domestic Shorthair)やデボンレックスなどの短毛種を計画的に交配し、骨格や筋肉量、免疫力の強化が図られました。こうして、中型で筋肉質、耳が大きく、しわの多い独特の外観を持つ現在のスフィンクスの姿が整っていきます。

1970〜80年代にはアメリカにも系統が渡り、アメリカのブリーダーたちが血統の整理と健康面の改善を進めました。その結果、TICAでチャンピオンシップステータスを獲得し、CFAでも2000年代初頭には完全な公認品種として認められるようになります。現在ではFIFeやGCCFなど、主要な国際猫登録団体でも広く公認される存在です。

一方で、「被毛がない」という特徴は人間にとって魅力的であると同時に、寒さ・乾燥・日光に弱いというリスクも抱えています。さらに、心臓病(特に肥大型心筋症)の遺伝的リスクも指摘されており、近年は見た目の珍しさだけでなく、健康と福祉を最優先した繁殖が国際的なテーマになっています。親猫の心エコー検査や遺伝子検査、適切なアウトクロスの記録管理など、将来も健全なスフィンクスが存続できるよう、ブリーダーたちによる取り組みが続けられています。


飼い方のコツ

環境づくり

  • 室温・湿度管理を徹底:夏冬ともエアコン必須。極端な暑さ・寒さ・乾燥を避ける。
  • 直射日光&冷え対策:窓辺にはカーテンやUVカットフィルム、冬はブランケットや猫用ウェアを用意。
  • 快適な寝床作り:フカフカのベッドやドームベッドなど、“包まれる感じ”の寝場所を複数作ってあげる。

食事

  • 筋肉質ボディを支える高品質フード:高タンパク・適度な脂質の総合栄養食をベースに、体型を見ながら量を調整。
  • 水分もしっかり:ウェットフード併用や給水器の活用で、皮膚や全身の健康維持をサポート。

遊び

  • 短時間×高頻度の運動:じゃらしやボール遊びを1回5〜10分程度、1日数回。
  • 頭を使う遊びもプラス:知育トイやごほうびを使った「持ってこい」などで、好奇心を満たしてあげる。

健康と寿命

先天的な病気やリスク、老後になりやすい病気等

病名内容
肥大型心筋症(HCM)心筋が分厚くなることで、心臓の働きが弱くなる病気。スフィンクスでは発症リスクが指摘されており、親猫の検査歴と、定期的な心エコー・聴診でのチェックが大切。
皮膚炎・猫ざそう皮脂がたまりやすく、汚れや細菌・真菌が増えると赤み・かゆみ・吹き出物が出ることがある。定期的な体拭き・シャンプーと、異常があれば早めの受診を。
熱中症・低体温症被毛が少ないため、暑さ・寒さの影響を受けやすい。夏の蒸し暑さや冬の冷え込みに注意し、室温管理と直射日光対策を徹底する必要がある。

📊 平均寿命(一般例):12〜15年前後
※あくまで一般的な目安であり、体質や生活環境で大きく変わります。

💡 健康維持のためには、年1回以上の健康診断(心臓チェック含む)と、毎日の皮膚・体型の観察がとても重要です。「なんとなく元気がない」「呼吸が荒い」「皮膚が赤い」などの変化は早めに相談しましょう。


子猫の価格と選び方

項目内容
平均価格約30〜50万円前後(国内販売・輸入を含む目安。条件によりこれ以上になることも)
価格差の要因血統(ショータイプかペットタイプか)、親猫の検査歴、皮膚色や模様、性別・月齢、輸入費用やワクチン・検疫費など
購入ルート国内の少数ブリーダー、取り寄せ対応のペットショップ、海外ブリーダーからの輸入代行、ごく稀に里親募集

💡 選び方のコツ
スフィンクスは見た目の珍しさよりも「健康情報」を最優先に。

  • 親猫の心臓(HCM)検査歴やワクチン・健診記録が提示されるか
  • 皮膚の状態(赤み・フケ・かき壊しなど)が落ち着いているか
  • ブリーダー/ショップが、温度管理・皮膚ケア・保険や医療費など“デメリット面”もきちんと話してくれるか

をチェックすると安心です。


スフィンクスと暮らす日常

朝、布団から出ようとすると、まず足元の“あったかい塊”をそっとどかすところから一日が始まります。スフィンクスは人肌が大好きなので、夜は布団の中、昼間は膝の上やひなたスペースが定位置。家事や在宅ワークのあいだもついて回り、「ちょっと休憩しようか?」とでも言うように、キーボードの前にどっかり寝転がってきます。

週に何度かの体拭きや、お風呂の日は少しだけバタバタしますが、ふわふわタオルに包まれてごろごろ言う様子を見ていると、その手間もご褒美の一部に感じられるはず。服選びやベッド作り、室温管理など、「どうしたらもっと快適かな?」と考える時間そのものが、スフィンクスとの暮らしの楽しみになっていきます。


向いている飼い主タイプ

飼い主タイプ相性度
初心者
共働き家庭
子どもがいる家庭
1人暮らし

💬 コメント
お世話のポイントをきちんと押さえれば、性格的にはとても飼いやすい猫種です。ただし、皮膚ケアや温度管理など“手間は増える”ので、忙しすぎる家庭よりも、スキンシップやケアの時間をしっかり取れる人と相性が良いでしょう。人懐っこいので、子どもと一緒に遊べる家族や、在宅時間の長い一人暮らしの相棒にも向いています。


よく比較される猫種との違い

猫種性格入手難易度飼いやすさ
スフィンクス超甘えん坊・社交的・人について回るタイプ。遊び好きで“犬っぽい”。 ケアの手間は多め(皮膚・室温管理)が、その分絆も深まりやすい
デボンレックス活発で陽気、人懐っこい。くるんとした被毛が特徴。 被毛はあるが比較的少なく、運動量も多め。毎日たくさん遊びたい人向け
エキゾチック・ショートヘア穏やか・甘えん坊・のんびりタイプ。短毛のペルシャ風。 皮膚ケアよりも、涙やけや顔周りのケアが中心。スフィンクスより環境作りのハードルは低め

まとめ|パパちゃんとしょうすけの猫談義 🐾

しょうちゃん
しょうちゃん

ねえパパ、あの“ツルツルの猫”さ、毛を剃ってるわけじゃないんだよね?

パパちゃん
パパちゃん

ちゃんと生まれつきなんだよ。スフィンクスは毛がほとんどない代わりに、肌があったかくて人肌大好き。しょうちゃんと同じで、家族にベッタリなんだ。

しょうちゃん
しょうちゃん

毛がないってことは、シャンプーしなくていいってこと? ぼくはお風呂キライだから、ちょっとうらやましい。

パパちゃん
パパちゃん

むしろ逆でね、皮脂がたまりやすいから体拭きやお風呂は定期的に必要なんだ。しょうちゃんは毛のブラッシング、スフィンクスは肌のお手入れって感じかな。

しょうちゃん
しょうちゃん

寒がりそうだけど、冬はどうしてるの? ぼくはコタツとママのひざで十分だけど。

パパちゃん
パパちゃん

冬はあったかい部屋とブランケット、それから洋服を着る子も多いよ。直射日光や冷えすぎも苦手だから、エアコン管理がほぼ必須だね。

しょうちゃん
しょうちゃん

そんなに人について回るなら、パパとママを取られちゃわない? ぼく、ちょっとやきもち焼いちゃうかも。

パパちゃん
パパちゃん

スフィンクスは誰か一人にベッタリというより、家族全員に甘えるタイプが多いかな。しょうちゃんは“長年の相棒”、スフィンクスは“新入りのストーカー役”って感じで、いいコンビになれそうだよ。

しょうちゃん
しょうちゃん

もしパパがスフィンクスさんをお迎えするなら、いちばん気をつけることってなに?

パパちゃん
パパちゃん

まずは健康。心臓の検査歴や親猫の情報、皮膚ケアや温度管理の説明をしっかりしてくれるブリーダーさんを選ぶこと。それから、光熱費とお手入れの時間を“家族でちゃんと分担できるか”を考えてから決めたいね。

パパちゃん
パパちゃん

スフィンクスは、見た目のインパクト以上に“中身は超甘えん坊”な家庭向きの相棒。人のそばでぬくぬく過ごすのが何より好きで、遊びもスキンシップも全力だよ。そのぶん、肌のお手入れや温度管理、心臓や皮膚の健康チェックなど、ケアの手間はしっかりかかる猫種。特別な手ざわりと濃い時間を楽しみたい家族にとっては、世界にひとつだけの存在になってくれるはず。